倉庫を企業が持つ意味

倉庫業法という法律に基づいて許可をとったものを営業倉庫といいますが、その一方で自家倉庫というものがあります。自家倉庫とは、ある企業が自分のもっている商品のために自分で保有する倉庫のことです。他人の荷物を有料で預かるものではないので、倉庫業法とは関係ありません。そのため、自家倉庫は会社の数だけあるともいえ、その数も形も正確に把握することができません。ただ、倉庫業全体は物流面での役割は、時代の変化とともに小さくなっているようです。

倉庫業界において、自家倉庫と営業倉庫の関係はどのようなものなのでしょうか。これは自家用トラックと営業トラックの関係とは異なります。営業トラックは少なくともトンキロでは、家用トラックよりもはるかに多くの荷物を運んでいますが、営業倉庫はすべての自家倉庫と比べると、在庫として持っている商品の量は自家倉庫の数パーセントにしかすぎないでしょう。また、自家トラックは運輸省がその数字を押さえていますが、自家倉庫はその数も形も把握できていません。なぜなら、店のバックルームも、問屋のデポ(集配の中継集配送所)も、工場の在庫場所も、流通センターも、すべて自家倉庫と呼ぶことができるからです。

倉庫というのは確かに物流拠点ですが、営業倉庫を含めて考えると、結局、その種類は多岐にわたり、そのあり方や、保有者と使用者の関係も多種多様になってきます。ただ、いえることは、倉庫業といっても、すでに保管料収入の割合は小さくなってしまっていることです。倉庫業は運輸面では意味があっても、物流面では全体の流れの一部として組み込まれてしまっています。この傾向はさらに進んでいきます。

倉庫の意味は、とはいえ、企業にとっては大きなものです。例えば、自家用倉庫を持つことによって、生産や販売における物資流通過程と保管との間に運搬距離が少なくなります。したがって、倉庫利用と、営業や生産との間の時間的ロスが少することが可能です。また、企業が生産または販売の目的に沿って,その適地に倉庫を設置することによって,一貫流通システムの設計も可能になります。

倉庫を企業が持つことは、生産や販売に必要とする物品の保管に最も適しているといってもよいでしょう。荷役作業が合理的に行えますし、倉庫施設の整備も容易になるのですから、物品の取扱いも極めて正確に行えるのです。