倉庫業法という法律に基づいて許可をとったものを営業倉庫といい、そうでないものを自家倉庫といいます。営業倉庫の場合は、倉庫料金も届出制になっていますが、自家倉庫にはその必要がありません。
倉庫業には旧財閥の名前がついた企業が多く、古い港には重厚な倉庫がたくさんあるので、物流のなかで大きな位置を占めるように思われますが、物流全体から見ると、営業倉庫のポジションは意外に小さいのです。まず倉庫業全体の年間収入はわずか2兆円で、これはトラック業の6分の1以下です。また倉庫業者数も多くありません。しかも、現在の日本国内の倉庫業のナンバーワンは、なんと通運会社なのです。つまり、倉庫業といっても、その多くはトラック業などを兼業しているのが普通です。そして、プロパーの倉庫業は一部の旧財閥系のものを除けば、ほとんどが中小企業ばかりといえます。
倉庫業法適用外の倉庫もあります。実のところ、倉庫といわれるものの大部分を占めるのは倉庫業法で管理される営業倉庫ではなく、自家倉庫と呼ばれるものなのです。営業倉庫とは、他人の荷物を預かって、保管料や人出市村を受け取る営利目的のものをいいます。ところが、一方で、こうした料金を受け取るものでも、倉庫業法には関係ないものもあります。それが農業倉庫や協同組合倉庫なのです。農協や協同組合が組合員のために保管や入出庫をするものは、倉庫業法による倉庫とは明確に区別されます。
倉庫でもうひとつおもしろいものに、倉庫を他人に貸してお金をもらっても、倉庫業法の許可が必要ないものがあります。それが不動産貸借としての倉庫です。ある人なり会社なりが、自分で倉庫をつくり、その倉庫を他人に丸ごと貸します。これで家賃を受け取っても、倉庫業法は関係ありません。たとえ、その倉庫のなかの作業や、そこから出荷される輸送・配送を請け負っても、それは倉庫業ではないのです。最近増えているトランクルームなどがこれに当てはまります。ですから、多くの倉庫業やその他の運輸業がこうした倉庫の貸し方や仕事の請負を行っています。
倉庫業界の仕組みはこのように、倉庫業法に則って許可を取っているものと、そうでないものがあります。これらが両輪となって倉庫業を、ひいては物流業界を支えているのです。